「春夏冬」と書いて「あきない」と読ませることがありますが、今年の秋は本当に「あきない」くらい短かったですね。季節が移り変わる間もなく、冬が顔を覗かせたような気がします。
ここ数年、気候の変化に伴って、小児科での感染症の流行にも季節感が薄れつつあるのを強く感じます。その中でも、今年の秋は「りんご病(正式名称:伝染性紅斑)」が目立ちました。
『りんご病について簡単にご説明します』
りんご病は主に小児に多い感染症で、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが原因です。特徴的な症状として、頬にりんごのような赤い発疹が出たり、腕や足に網目状の淡い発疹が現れます。発疹が出る10日ほど前に軽い風邪のような症状が出ることがあり、この時期が周囲への感染力が最も強いとされています。しかし、発疹が出る頃には感染力はなくなるため、登園・登校を制限する必要はありません。
ウイルス性の感染症なので特別な治療は必要ありませんが、発疹によるかゆみが出た場合は、抗アレルギー薬を処方することもあります。
一般的には大きな問題となることはありませんが、一度も感染したことのない妊婦さんがかかると、胎児に影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊娠中の方は流行中に通常の感染対策(手洗い、マスクの着用など)を徹底していただくことをお勧めします。
『母子手帳への記録をお忘れなく』
お子さんがりんご病にかかった際には、母子手帳に記録しておくと良いでしょう。りんご病は一度感染すると「終生免疫(感染しにくい体質になること)」を獲得するため、将来お子さんが妊婦さんや妊婦さんのご家族となった際に安心材料となります。
今年の秋も終わりに近づき、寒さが増してきました。これからも、お子さんを通じてご家族皆さまの健康をサポートできるよう努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
以上、12月担当小川でした。