RSウィルス感染症

非常に感染力が強く、幼稚園や保育園などの施設内感染に注意が必要です。
RSウイルス感染症の症状
発熱、鼻水などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、咳がひどくなる、「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴を伴った呼吸困難が出るなどの症状が出現することも多くあります。特に0歳から1.2歳の小さなお子様は喘鳴や咳嗽が強くなり気管支の細い部分への炎症が強まり細気管支炎、肺炎へと進展することがあります。酸素化が悪く呼吸困難にも陥りやすく、低酸素状態になり、入院が必要になることもしばしばです。潜伏期間は2~8日、典型的には4~6日です。初めて感染する乳幼児の約7割は、数日のうちに軽快しますが、約3割は咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難症状などが出現します。早産児や生後24ヶ月以下で心臓や肺に基礎疾患がある、神経・筋疾患や免疫不全の基礎疾患を有する感染者の場合、重症化するリスクが高まります。
3か月未満の児が罹患した場合には無呼吸発作を起こすこともあります。
中耳炎や胃腸症状を伴うこともあります。
RSウイルス感染症の感染経路
RSウイルス感染症の感染経路は接触感染と飛沫感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。
一方、再感染では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれていない年長児や成人が存在しており、症状がある場合、可能な限り乳幼児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。
RSウイルス感染症の感染対策
感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による手指衛生が重要です。
飛沫感染対策としては、鼻汁、咳などの呼吸器症状がある場合はマスクが着用できる年齢の子どもや大人はマスクを使用することが大切です。
大人の感染が多い
RSウイルスは「乳幼児の感染症」と思われがちですが、大人も感染します。特に乳幼児と同居している保護者や高齢者、基礎疾患を持つ方は注意が必要です。症状は軽い風邪のようなものが多いですが、高齢者や免疫力の低下した方では重症化することもあります。
大人の感染が多い
成人の場合、以下のような症状がみられます。
- のどの痛み、軽い咳
- 鼻水、鼻づまり
- 頭痛や倦怠感
- 微熱
乳幼児のような重い呼吸困難は少ないですが、体力の消耗や長引く咳に悩まされることがあります。
RSウイルス感染症の治療
RSウィルスに対しては有効な抗ウィルス薬はありません。対症療法に加えて、吸入等を行い呼吸状態の改善を試みます
当院では喘鳴が著名で呼吸状態が悪化した際は、頻回の吸入治療に加えて鼻汁吸引もあわせて行い、こまめな処置を行うことで、お子様のつらさの軽減につなげていきます。
よくある質問
RSウイルス感染症は何歳まで注意が必要ですか?
特に2歳未満の乳幼児は重症化しやすいため注意が必要です。生後6か月未満の乳児や早産児、基礎疾患を持つお子さんは、細気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすリスクが高まります。
RSウイルス感染症の潜伏期間はどれくらいですか?
潜伏期間は2~8日(多くは4~6日)です。発症後は、特に3~8日の間に症状が強くなり、感染リスクも高まります。また、月齢の低い子どもでは、ウイルスの排出が3~4週間続くこともあります。
RSウイルス感染症に特効薬はありますか?
現在、RSウイルス感染症に対する特効薬はありません。治療は対症療法が中心で、解熱剤や咳止めなどの薬を用いて症状を和らげます。重症化した場合は、酸素投与や点滴などの入院治療が必要になることもありますのでご注意ください。
RSウイルス感染症は大人にも感染しますか?
はい、大人にも感染します。ただし、症状は軽い風邪のようなもので済むことが多く、気づかないうちに乳幼児に感染させてしまう可能性があります。特に乳児がいる家庭では、手洗いやマスクの着用など、感染予防を徹底しましょう。
RSウイルス感染症に対するワクチンはありますか?
日本では、60歳以上の成人向けと妊婦向けのRSウイルスワクチンが承認されています。また、重症化リスクの高い乳児には、抗体製剤が予防的に使用されることがあります。接種については、お気軽に当院までご相談ください。
RSウイルス感染症の登園・登校の目安はありますか?
RSウイルス感染症には、法律で定められた出席停止期間はありません。重篤な呼吸器症状が消失し、全身状態が良好であれば登園・登校が可能とされています。園や学校によっては、登園・登校許可証の提出を求められることがありますので、事前に確認してください。
RSウイルスとインフルエンザの違いは何ですか?
RSウイルスとインフルエンザはどちらも冬季に流行するウイルス性呼吸器感染症ですが、症状や年齢層、治療方針に違いがあります。 RSウイルスは特に乳幼児に多く、細気管支炎や呼吸困難を引き起こしやすい一方、インフルエンザは高熱・全身倦怠感・筋肉痛を伴う急性疾患として全年齢に感染します。 インフルエンザには抗ウイルス薬がある一方で、RSウイルスには現在特効薬がなく、主に対症療法で対応します。症状が似ているため、適切な診断と治療が重要です。