花粉症がつらい

花粉症の患者様では喉の不快感を感じたことがないという人もいます。実際、花粉症による喉の痛みについてはあまり一般的に知られていませんが、それはアレルギー性咽喉頭炎の可能性があるかもしれません。
花粉症とアレルギー性咽喉頭炎
花粉症の場合、鼻と目の症状は一般的に「花粉症の症状」とされますが、喉の症状がなぜ「アレルギー性咽喉頭炎の症状」と見なされるかには理由があります。それぞれの症状の発生メカニズムに違いがあるからです。
鼻の症状は、花粉が鼻の粘膜に付着し、周囲の細胞からアレルギー反応を引き起こすことで生じます。これが典型的な花粉症のメカニズムです。一方、喉の症状も同様にアレルギー反応として現れることがありますが、鼻水が喉に到達して喉の粘膜を刺激し、それによって引き起こされることもあります。
花粉によるアレルギー反応としての喉の症状は、「花粉症の症状」として分類されます。一方で、鼻水が喉の粘膜を傷つけ、それが細菌やウイルスの繁殖を招き、炎症を引き起こす場合は、「アレルギー性咽喉頭炎の症状」と見なされます。
ただし、アレルギー性咽喉頭炎の症状も起源は花粉症なので、治療に用いられる薬は花粉症の治療薬と同様です。
子どものスギ花粉症について
鼻粘膜のアレルギー反応により、通常は発作的で繰り返し起こるくしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりが主な症状とされます。花粉症は花粉を原因とするアレルギー性鼻炎であり、その代表的なものには春のスギ花粉症が挙げられます。
夏にはイネ科の植物、秋にはブタクサなどの花粉症も見られます。近年、花粉症の発症年齢の低下が見られます。
花粉症にかかる年齢
2~3歳の子どもが花粉症にかかることは珍しくありません。元々アレルギー体質の子どもは、発症のリスクが高くなる傾向があります。
症状が持続すると、集中力の低下につながったり、遊びや勉強に影響を及ぼしたり、睡眠の妨げになったりすることがあります。子どもの花粉症は、保護者が見逃さず、早めに対処する必要があります。
子どもの花粉症の予防も、基本的には大人と同様に、アレルゲンとなる花粉に接触しないことが重要です。
子どもの花粉症の見分け方
子どもの花粉症は低年齢化しており、見極めが難しいといわれています。スギ花粉のシーズンは風邪やインフルエンザがはやる時期と重なりますし、小さなお子様は自分の症状をうまく伝えられないからです。そのためご家族の方が花粉症のサインを見逃さず、早い段階で対処する事が大切です。
最もわかりやすいのは鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。鼻をすすったり、目をこすったり、あるいは口をもぐもぐさせるようなしぐさも花粉症のサインの恐れがあります。ちなみに子どもの鼻の穴は大人に比べ小さいため花粉が鼻に入り込みにくいのですが、かゆみやくしゃみの症状が大人より強いのが特徴です。
花粉症のつらい症状は睡眠不足や集中力の低下を招き、勉強や運動に支障をきたすこともあります。お子様の健やかな成長のためにも、適切な花粉症対策は親の大切な役目といえるでしょう。
花粉症の症状

花粉症の喉の症状
- 喉がかゆい
- 咳
- 喉がイガイガする
- 喉がチクチク痛い
スギ花粉症の治療
当院は舌下免疫療法と、花粉症の新しい治療のゾレアに対応しています。
舌下免疫療法「シダキュア」
多くの方に利用されているスギの舌下免疫療法は、当院でも幅広い処方実績と経験がございますので、舌下免疫療法については安心して当院にお任せください。
また、通年性アレルギー性鼻炎の多くはスギ花粉症と関連しています。当院では、ダニだけでなくスギとダニの両方を同時に対象とするDual法の舌下免疫療法も実施しています。
生物学的製剤ゾレア
ゾレアは、生物から産生されるタンパク質などの物質を利用して作られた医薬品であり、一般的な化学合成の医薬品とは異なります。このような医薬品は生物学的製剤と呼ばれ、病気に関連する標的分子に特異的に結合する抗体(タンパク質)を用いています。
花粉症などのアレルギー疾患において重要な役割を果たす"IgE抗体"を標的として作用します。構造が複雑であり、口からの摂取が難しい性質を持つため、主に注射剤として使用されます。
アレルギー反応の「スイッチ」が入らないようにする作用があり、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」を根本的に抑制する効果が期待されます。
その他の治療もあります
- 抗アレルギー薬の内服
- 抗アレルギー薬の点鼻点眼
- ステロイド内服
- 漢方療法
- 生活指導
子どもの花粉症の対策
子どもたちは自己防衛や対策をするのが難しいため、保護者のサポートが不可欠です。
外出を控えめに
花粉の飛散が多い日は特に注意が必要です。特に、一日のうちで飛散が多い時間帯(午後1時〜3時頃※地域によって異なります)は、できる限り外出を控えるようにしましょう。
外出時は完全防備、帰宅時は玄関でシャットアウト

帰宅後は洗顔やうがいを
帰宅後はできるだけ早くシャワーや入浴を済ませて、体や髪に付いた花粉を洗い流し、家の中に花粉を持ち込まないように心がけましょう。また、鼻うがいも効果的です。当院では専用の鼻うがいキットを販売しています。目を洗う際には、市販のカップ付き洗浄器具は目周囲の皮膚や目に花粉が付着する可能性があるため、お勧めできません。代わりに、防腐剤無添加の人工涙液を頻繁に点眼することをおすすめします。
あだち小児科おすすめのスギ花粉症のホームケア
花粉は家の中にも確実に入り込んでいます。窓を開けたり洗濯物や布団を外に干したりしたときはもちろんのこと、自分や家族が外から持ち込んでいるのです。
部屋の換気をするときは窓を全開にせず少しだけ開けて、網戸やレースのカーテンで花粉の侵入を防ぎます。換気のタイミングは、比較的花粉の飛散量が少ない早朝がおすすめなので、掃除も朝のうちに済ませてしまいましょう。
洗濯は部屋干しが基本です。外に干した場合は室内に取り込むときに、しっかりと花粉を払い落としてください。柔軟剤を使うと静電気の発生を抑えられ、花粉が付きにくくなります。
この時期、外に出す布団干しもお勧めできません。布団乾燥機などを活用して下さい
花粉症の予防や症状の緩和には、免疫機能を高める食生活が良いとされています。免疫が正常に機能すれば、花粉を異物と捉えることもなく、花粉症になりにくいからです。
免疫機能をアップさせるポイントは細胞の酸化(老化)を防ぐこと。主にビタミンやミネラルを多く含む野菜、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸を多く含む魚は抗酸化作用が高いので、積極的に取ることをおすすめします。
抗酸化作用で最近注目されているのが、「ポリフェノール」。赤ワインに含まれるプロアントシアニジンや緑茶に含まれるカテキンなどが代表的ですが、たまねぎに含まれるケルセチンもポリフェノールの一種です。
また、腸内環境を整える食品も花粉症予防には効果的。「乳酸菌」が含まれたヨーグルトやチーズのほか、みそ、納豆、漬物などの発酵食品に加え、食物繊維が豊富な食材も腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を良好に保ちます。