一般小児科について
小児科は子どもの身体を総合的に診る診療科です。新生児から思春期ぐらいまでの間は、まだ成長段階にあって、成人のような免疫システムが完成しておらず、また、自覚症状を訴えることも難しい年代です。そのため、当院では体調を崩した子どもの診察にあたり、表にあらわれる咳や鼻水、湿疹などといった単一の症状で判断するだけではなく関連する部分をしっかりと診て診断するように心がけています。
たとえば、咳や鼻水といった症状の場合、のどの奥や耳の中、胸など、発疹などの場合は、とびひなどの皮膚感染症、アレルギー性のもの、水痘などの全身性の感染症などの可能性を考えて全体的な診察と診断を行っています。
また、鼻づまりなどの症状が強い場合は、その場で鼻水吸引などを行い、できるだけ症状が早く回復し、楽になるような処置を行っています。
その他にも発熱した、吐き下した、下痢が続いているといった症状が出ている場合は、お早めに受診することをお勧めします。
当院では可能な限りお子さまをこまめに拝見し、その時のお子さまのご様子に適した治療を行います。他のクリニックと比べて受診回数が多いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、お子さまの症状緩和を一番に考えて治療を行っております。
子どものちょっとした体調の変化で心配なこと、いつもとちょっと違う様子などがありましたら、どんな些細なことでもかまいませんので遠慮無くご相談ください。
おねしょのお悩みついて
当院では、夜尿症(おねしょ)の最新の治療が可能です。あまり小さいうちから治療する必要はありませんが、心配な方は就学時期が近づく頃までに受診ください。
発熱
そのため、乳幼児の場合37.5℃以上を発熱とすることになっています。
子どもの熱が上がったからといって、直ちに重症かどうかの目安とはなりにくく、その他に、いつもと違って元気がない、熱以外にも鼻づまり、咳、腹下し、嘔吐、発疹といった症状も確認することが大切です。その上で発熱は受診の一つの目安となります。
咳
咳が続いて1か月以上も治まらないようであれば、単なる風邪などではなく、アレルギー疾患や感染症のおそれがあります。
もし、治療を受けているのに治らないような場合は、別の疾患が隠れていることも考えられますので、それまでの治療経過や症状の経過などを詳しくお聞きして、総合的に判断します。これまで服用してきたお薬を正確に把握するため、お薬手帳またはお薬の現物を診察時にお持ちいただくようお願いします。
当院の診察では、咳が続く場合、発熱や発疹など、その他の全身症状を診たり、ご家族で同じような症状の方がいないかなども調べたりして原因を特定していきます。
もし、治療が必要な場合は、まず感染症の抗体検査やアレルギー検査などを受けていただくこともございます。
百日咳
百日咳(pertussis, whooping cough)は、百日咳菌に感染して発症し特徴的なけいれん性の咳発作(痙咳発作)を認める呼吸器感染症です。咳が重症化しやすく、咳の期間が100日続くといわれています。母親からの免疫経胎盤移行抗体が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があります。免疫のない1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下の赤ちゃんが感染すると命に係わる可能性もあります。百日咳は世界的に見られる疾患で日本でも予防接種の免疫効果が減弱している学童期以降の感染の報告があります。感染経路
感染経路は、感染している人の咳などから感染する「飛沫感染」と、感染している人の咳などで汚染されたものに触れる「接触感染」です。感染力はかなり強く、百日咳に対する免疫を持っていない集団の中に1人の感染者がいた場合、16~21人に感染させてしまうと言われています。 百日咳は、予防接種で感染を防ぐことができます。 しかし、ワクチンの効果は4~12年で効果が減弱するといわれているので、定期接種に加えて追加接種(任意接種)が薦められます。 感染後、5~10日の潜伏期間を経て、症状が出現します。
症状は、「カタル期」「痙咳期(けいがいき)」「回復期」に分かれます。 初期のカタル期には、軽い咳や鼻水、くしゃみなどが現れます。症状が進むにつれて、咳はひどくなっていきます。 この時期は、風邪とほとんど症状が変わらないため診断が難しいのですが、最も感染力が強いのがカタル期です。 痙咳期は、カタル期よりも咳が強く、特徴的な咳が出ます。コンコンと激しい咳(スタッカート)が続いた後、ヒューっと息を吸い込む音(フーピング)を繰り返します。 百日咳の咳はとても激しいので、息ができずに顔が真っ赤になることがあります。また、咳き込みが続くと吐いてしまうこともあります。 乳児の場合、突然息が止まってしまうこともあるので、保護者の方は咳や呼吸状態を注意深く観察してください。 一方、大人は百日咳の特徴的な症状が出ないことが多く、そのため、病気に気づかず感染を拡大させてしまうことも少なくありません。 回復期は、徐々に咳が治まってきます。しかし、その回復には1.2か月かかることもあります。長引く咳、を検査すると百日咳に感染していた、ということもあります。 感染症法では出席停止の第2種感染症です。特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止となります。 検査方法としては血清抗体検査、LAMP法、イムノクロマト法があります。 血清抗体検査は採血を行い、血中にある抗体を調べる検査です。 LAMP法は、遺伝子検査です。偽陰性が出にくく短時間で結果が出ます。
イムノクロマト法は、検査キットのことです。 治療はマクロライド系抗菌薬を使用します。 抗菌薬を内服すれば、数日後には百日咳菌を周囲にうつすことはなくなります。 また、熱などは薬で治まりますが、咳は落ち着くまで時間がかかります。 予防接種を受けると、百日咳にかかるリスクを80~85%程度減らせます。 予防接種は、生後2ヶ月から接種可能となっています。 定期接種として生後2か月から百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ・ヒブの5つの病気を防ぐ五種混合ワクチンを接種し、1歳前後で追加接種を行います。 定期接種は上記のスケジュールとなりますが、ワクチンの効果は10年前後で減弱するため5~7歳の時と、11~12歳の時の2回、三種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア)を接種しておくと、予防効果が高まります。
鼻水・鼻づまり
鼻水は、透明な状態から少し白っぽい程度の見た目で、他に症状がない場合は急いで受診せず、少し様子をみても大丈夫です。
しかし、鼻水の見た目が黄色や緑色で、いつまでも治らない場合、細菌の感染症、副鼻腔炎なども考えられます。悪化させないように早いうちに受診してください。
のどの痛み
のどの痛みは、風邪、急性咽頭炎、急性扁桃炎などの症状としてよくあらわれます。原因は細菌やウイルスによる感染症です。同時に発熱やお腹の症状などがないかにもご注意ください。
嘔吐
子どもは食べ過ぎなどで嘔吐することもよくありますが、経過を観察したり、適切な処置を行ったりすることが必要になるため、ご注意ください。まずは、嘔吐によって失われた水分から脱水症状を起こさないよう、水分補給を行うことが大切です。さらに、点滴が必要になるようなケース、お薬を服用した方が良いケースなどもあります。繰り返し嘔吐するような場合は保護者の方がご自分で判断せず、受診するようにしてください。
特に、嘔吐とともに下痢や発熱を伴う、ぐったりしている、顔色が青白くなったなどのケースでは速やかな受診が必要です。
便秘・下痢
下痢
子どもの下痢は、冷たいものを飲み過ぎたりして起こることもあります。しかし多くは急性胃腸炎で、その原因はウイルス感染がほとんどです。その場合、通常なら4~5日すると治ってしまいます。ただし、なかなか下痢が治まらず、見た目は元気にしていて食欲があっても、1日5~10回程度下痢便が出ている状態が1週間以上続くようなら、すぐに受診してください。
診察では、感染症の有無の他にアレルギー検査を行うこともあります。また服用している薬の影響が出ている場合もありますので、お薬手帳もご持参ください。
腹痛
腹痛とは文字通り腹部の痛みのことで、その幅は広く、みぞおちのあたり(心窩部)から左右の脇腹、下腹など範囲も様々です。また、原因としても、便秘やウイルス性の胃腸炎といったよくある疾患から、急性虫垂炎(盲腸)、腸重積症、アレルギー性紫斑症などといった重篤なものまで幅広い疾患が考えられます。
もし、子どもが腹痛を訴えたときに便秘があるようでしたら、まずは浣腸をして様子を見てみるのも一つの対策です。
腹痛の原因を特定するためには、どのような痛みが、持続的か間欠的か、痛みの無い時の状態はどのようなのか、痛みの強さはどの程度なのかなどといった様々な要素で判断し、考えられる疾患に応じた検査なども行うことになります。
子どものお腹を触ってみて、強く張っている、のたうちまわるような痛みを訴えているといった場合や、腹痛とともに重い下痢や便秘がある、顔色が青くなっているなどの他、血便が見られるような場合には、時に手術が必要なケースもありますので、速やかに受診してください。
湿疹
子どもは、まだ皮膚のバリア機能がしっかりと発達しておらず、些細なことで細菌に感染し、湿疹などをよく起こします。
当院では、こうした子どもの皮膚症状にも対応しています。保湿や塗り薬によるスキンケアを進めながら、症状にあわせてアレルギーがないかどうかの検査や、内服薬による治療なども行っていきます。必要な患者さには看護師によるスキンケア指導も行っております。
頭痛
子どもが頭痛を訴える場合、多くは発熱に伴うもの、またははしゃぎすぎるなどで疲れて自律神経が乱れていることなどが原因です。こうした時々起こる頭痛であれば、多くの場合、ひどい場合に鎮痛薬を飲ませる程度で様子を見ても大丈夫です。
しかし、頭痛が毎日起こるようなら、受診してしっかりと原因をつきとめる必要があります。脳に問題がある、血圧が高くなっているといったことも考えられます。
時に鼻が詰まって、濃い黄色の鼻水が出るようなケースで、前頭部の痛みを訴える場合は、副鼻腔炎の可能性もあります。副鼻腔炎の場合は、長期化しないよう、一定期間弱めの抗生剤を飲み続ける療法があります。この場合も早めに受診してください。
子どもの頭痛
頭痛について
お子さんから「頭が痛い」と言われたとき、多くの保護者は深刻な病気を心配されるのではないでしょうか。特に思春期のお子さんの場合、症状の訴えがより具体的になるため「もしかして脳に異常があるのでは」と不安を感じ、医療機関への受診を考える方も多くいらっしゃいます。
しかし、お子さんの頭痛の背景にある原因を見てみると、脳腫瘍のような重篤な疾患によるものは実は全頭痛患者の3~4%程度にとどまります。むしろ、小児期から思春期にかけて最も多く見られるのは片頭痛と緊張型頭痛という二つのタイプです。
特に片頭痛については激しい痛みを特徴とし、しばしば嘔吐症状を伴うため、多くのご家庭で医療機関への相談を必要とする頭痛として知られています。さらに、思春期特有の問題として学校生活や友人関係から生じる心理的なストレスが引き金となって、毎日のように続く頭痛に悩まされるお子さんもいます。このような状況では、学校への出席にも影響が出てしまうケースが少なくありません。心配なことがあれが、いつでもご相談ください。
小児頭痛の原因
小児頭痛は大人と同様に様々な要因が関与しています。まず、多くの保護者が理解しておくべき点として、お子さんの頭痛は決して甘えや気のせいではなく、医学的根拠のある症状であることです。
頭痛の原因は大きく以下のような要因に分けられます。
身体的要因
- ホルモンの変動(特に思春期)
- 姿勢の悪さや長時間の同じ体勢
- 睡眠不足や不規則な生活リズム
- 脱水や栄養バランスの偏り
環境的要因
- 学校生活でのストレス
- 友人関係の変化
- 家庭環境の変化
- 過度な学習負荷
病気による要因
- 風邪や副鼻腔炎
- 視力の問題
- 頭部外傷
- その他の基礎疾患
頭痛の種類
片頭痛
子どもでも片頭痛は起こります。発作は突然始まり、頭の片側を中心に強い痛みが生じることが多いのが特徴です。痛みだけでなく、吐き気、嘔吐、光や音への過敏症を伴うことがあります。思春期になるにつれ痛みの強さが増すケースも見られ、遺伝的要素が関与することも知られています。
緊張型頭痛
最も多く見られる頭痛の一つで、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。姿勢の悪さ、長時間の同じ体勢、ストレス、睡眠不足などが原因となりやすく、日常生活に支障をきたすことがあります。
その他の頭痛
風邪や副鼻腔炎、頭部外傷、視力の問題、睡眠障害など様々な要因が関与する頭痛もあります。急に痛みが強くなった、頭全体が激しく痛む、意識状態が変わるといった症状がある場合は、すぐに受診が必要です。
思春期の頭痛
ホルモン変動と睡眠リズム
思春期はホルモンの波が大きく、睡眠リズムが乱れやすい時期です。これらの変化が頭痛の引き金になることがあります。特に女子では生理周期に伴うホルモンの変動が頭痛に影響することもあります。
学業・人間関係のストレス
学校生活や友人関係の変化は、頭痛の頻度や強さに大きく影響します。進学や受験といった学業のプレッシャー、友人関係の複雑化、部活動での競争などが原因となることがあります。
速やかな受診が必要な頭痛
以下のような症状が見られる場合は、すぐに受診してください。
- 痛みが初めて強く出現した、または痛みが急速に悪化した
- 発熱を伴う激しい頭痛
- 嘔吐、けいれん、意識障害を伴う
- 視力の急激な変化や複視
- 片側の手足の麻痺や言語障害
- 頭部外傷後の頭痛
- 朝に強い頭痛がある
- 咳やくしゃみで悪化する頭痛
このような症状のどれか1つでも当てはまれば、迷わず医療機関を受診してください。
また、緊急性はないものの、以下のような場合も受診をお勧めします。
- 頭痛が数日以上続く、または頻度が増加している
- 学校生活に支障をきたしている
- 市販の薬では改善しない
- 日常生活に制限が生じている
頭痛の治療内容
生活習慣の改善
頭痛の予防と改善には、生活習慣の見直しが重要です。
睡眠の改善
- 毎日決まった時間に就寝・起床する
- 睡眠時間を十分確保する(年齢に応じて8-10時間)
- 就寝2時間前からデジタル機器の使用を控える
- 寝室の環境を整える(適切な温度・湿度・暗さ)
食事と水分補給
- 規則正しい食事時間を保つ
- バランスの良い栄養摂取を心がける
- 適切な水分補給を行う
- カフェインの過剰摂取を避ける
- 過度の空腹状態を避ける
運動とストレス管理
- 適度な運動習慣を身につける
- リラクゼーション法を取り入れる
- 趣味の時間を確保する
- ストレスの原因を特定し、対処法を考える
お薬による治療
症状や年齢に応じて、適切な薬物療法を検討します。小児では成人とは異なる薬剤選択や用量調整が必要になるため、必ず医師の指導のもとで服用してください。
痛み止めの使用については、頻回使用による薬剤乱用頭痛を避けるため、使用頻度や期間について医師と相談しながら進めていきます。
よくある質問
子どもでも大人と同じ頭痛薬を使えますか?
いいえ、お子さんには年齢や体重に応じた適切な薬剤と用量があります。特にアスピリンなど、小児では使用を避けるべき薬剤もあります。必ず医師に相談してから使用してください。市販薬を使用する場合も、薬剤師に相談し、年齢に適した製品を選ぶことが大切です。
頭痛が続く場合、学校を休ませるべきですか?
症状が重い場合は無理をせず休ませることも大切です。頭痛による集中力低下や学習効率の悪化を考えると、適切な休養を取ることが結果として早期回復につながります。ただし、頻繁に学校を休む場合は医師と相談し、根本的な原因の特定と治療を検討しましょう。
頭痛は遺伝するのですか?
片頭痛には家族性があることが知られています。ご両親のどちらかに片頭痛がある場合、お子さんも片頭痛を発症する可能性が高くなります。しかし、遺伝的要素があっても、生活習慣の工夫や適切な治療により症状をコントロールすることは十分可能です。
天気と頭痛は関係ありますか?
はい、天気の変化、特に気圧の変動が頭痛の誘因となることがあります。台風や低気圧の接近時に頭痛を訴えるお子さんは少なくありません。天気予報を参考に、天候が崩れそうな時は早めに対策を取ることも有効です。
頭痛は成長とともに改善しますか?
多くの場合、適切な管理により症状は改善します。特に生活習慣の改善やストレス管理により、頭痛の頻度や強度を減らすことができます。ただし、放置すると慢性化することもあるため、早期の対応が重要です。
食欲がない・元気がない
普段もりもりと食べ、授乳量もたっぷりしているのに、時に食欲が無い、元気がないと心配になるものですが、多くの場合は様子を見る程度で、それほど心配することはありません。
しかし、顔色が真っ青、表情が硬いなどいつもと異なる場合や、ぐったりしているような場合は受診してください。
耳が痛い
